スリーブインポートツール

Tekla Structures スリーブ sleeve 貫通孔 設備
Not version-specific
Tekla Structures
Environment
Japan

Image
slimp1.png

対応バージョン 2016以降

1.概要

本ツールは、設備-梁貫通孔連携中間ファイル  を読み、各行データにスリーブ補強タイプを割当て、TeklaStructuresモデル内の該当位置に一括してスリーブ補強や開口を設けるツールです。

設備-梁貫通孔連携中間ファイル

清水建設株式会社様にて策定されたCSVフォーマットで、設備専用CADから躯体・鉄骨専用CADに梁貫通孔情報を受け渡すためのデータまたはその書式です。本ツールが対応しているCSVフォーマットバージョンは設備-梁貫通孔連携中間ファイル  Ver 2.0.3です。以下本マニュアルでは、設備-梁貫通孔連携中間ファイルをCSVファイルと称し、CSVファイルの内容をCSVデータと称します。

2. 準備

フリードーナツ、ハイリングIII、II、OSリング、円補強板、角補強版 等の各補強リングのカスタムコンポーネントはあらかじめ別途インストールして頂くようお願いいたします。

3. 操作方法

1.起動

TeklaStructuresが起動している状態でアプリケーションとコンポーネントカタログからスリーブインポートをダブルクリックして下さい。ツールのダイアログが開きます。ダイアログタイトルは設備-梁貫通孔連携中間ファイルインポートツールとなっています。

Image
2017-11-07 09_48_39-スリーブインポートツールマニュアル201711.docx - Word.png

2.CSVデータの読込

上段の ボタンを押してCSVファイルを指定し、CSVデータ読込みボタンを押します。するとCSVファイルが下図のように読み込まれます。

Image
slimp2.png

各列は左から

  • 行番号
  • コマンド(丸穴/角穴、原点タイプなど)
  • Xi/階/ID(ID番号など)
  • Yi/見上/見下/サイズ(穴径など)
  • Zi/Xi/Xs(始端座標)
  • Yi/Ys
  • Zs
  • Xe(終端座標)
  • Ye
  • Ze
  • スリーブタイプ:スリーブ補強のコンポーネント/単純開口を指定
  • 型番:各スリーブ補強のコンポーネントのサブタイプがあれば指定
  • 結果:処理結果

 

3.行選択操作(スリーブタイプ・型番を一括指定するため)

スリーブタイプ型番を一括して指定する方法をご説明いたします。(1行ごとに異なるスリーブタイプを指定ケースについては後述)行の選択は、右端の数字の列をマウスでクリックすることで行われます。複数行を選択する場合は、Ctrl キーを押しながらクリックすることで、選択行が次々に追加されます。

Image
slimp4.png

Image
slimp5.png

また、Shiftキーを押しながら行をクリックすると、最後に選択された行から今回選択した行の間すべての行が選択されます。
Image
slimp6.png

Image
slimp7.png

また、表の左上隅をクリックすると全行が選択されます。
Image
slimp8.png

選択を解除するには、セルを一つ選択すると行選択は解除されます。また、1行だけ選択解除するには、ctrlキーを押しながら該当行をクリックします。

4.スリーブタイプ・型番 一括指定

行が選択できたら、スリーブタイプを指定します。スリーブタイプはダイアログ右側のリストで指定します。

Image
slimp9.png

スリーブタイプ型番があれば型番を指定し、その下の入力・変更ボタンを押します。すると、選択されている行のスリーブタイプ型番に一括して現在の入力値が入ります。
Image
slimp10.png

5.スリーブタイプ・型番 個別指定

個別にスリーブタイプ型番を指定する場合は表内の該当する行のスリーブタイプリストおよび型番リストから選択して下さい。

Image
slimp11.png

6.スリーブタイプの種類

スリーブタイプの種類は以下の9種類があります。

  • フリードーナツ_r1
  • フリードーナツ
  • ハイリングIII
  • ハイリングII
  • OSリング_V10
  • OSリング
  • 円補強板
  • 角補強版
  • 単純開口

補強を行わずに単に開口だけ開けたい場合は単純開口を選択してください。

7.スリーブ・開口作成

スリーブタイプと型番の入力が終わったら、作成したい行が選択されていることを確認の上スリーブ・開口作成ボタンを押して処理を実行します。

Image
slimp12.png

8.プログラム処理

実行が開始されると本ツールはCSVデータの座標位置にまずダミー材(下記参照)を作成します。そして、そのダミー材と干渉する梁部材がモデル内に存在すれば、指定したタイプのスリーブ補強コンポーネントもしくは単純開口(ダミー材によるカット)を作成します。対象となる梁部材は鉄骨材もしくはコンクリートの梁材です。鋼構造用のスリーブ補強が指定されているにもかかわらず該当する梁がコンクリート梁だった場合は、単純開口が作成されます。
干渉チェック処理と個々のスリーブ補強カスタムコンポーネントを実行するため多少時間がかかります。ダイアログ下部のプログレスバーが100%になるまでお待ちください。

Image
slimp13.png

処理が完了すると、モデルビュー内にスリーブ補強のカスタムコンポーンネント、開口(カットオブジェクト)などが作成されます。
また各、開口部の中心付近に赤字でID番号が表示されます。
Image
slimp14.png

Image
2017-11-07 09_51_23-Start.png

もし該当位置に梁材がない場合は、ダミー材ID番号、「干渉する梁が見つかりません」というメッセージが表示されます。
Image
slimp15.png

梁と交差する場合、ダミー材の中心ラインが梁ウエブを貫通する場合はスリーブコンポーネントを作成しようとします。しかし、ダミー材の中心ラインがウエブから外れると、スリーブコンポーネントは作成せず、ダミー材は赤になり”交差状況エラー”となります。
 
Image
2017-11-07 09_51_52-Start.png

既製品スリーブコンポーネントで該当サイズのものがない場合はダミー材は赤になり”適合サイズなし”のメッセージが表示されます。
Image
slimp16.png

なお、ビュー内のID番号とメッセージは一時的なものでビュー(ウインドウ)の再描画を実行すると消えてしまいます。結果はダイアログ内の表の結果フィールドにも表示されますので、以後はこちらでご確認下さい。

9.結果

処理が完了すると、表の結果フィールドに処理結果がOKもしくはエラーメッセージが表示されます。

Image
slimp17.png

4.補足

1.ダミー材

ダミー材とはCSVファイルに記述されている口径と始点終点で定義される円柱オブジェクトを言います。これで補強スリーブ補強コンポーネントがない場合や誤っている場合でもCSVの情報をモデルで確認することができます。(角型の場合は角柱となります。)

Image
slimp18.png

上図中で選択されているオブジェクト(白)がダミー材です。
Image
slimp19.png

ダミー部材は上図のプロパティを持ちます。

  • マーク頭文字:Dummy
  • 名前:設備連携データ
  • プロファイル名:円柱(角柱)プロファイル
  • 材質:Miscellaneous_Undefined
  • 仕上げ:Id番号
  • クラス:995 or 996(干渉する梁がない場合、クラス色は赤)

2.ダミー材の選択

ダイアログの右側の下方に、ダミー材を選択するための3つのボタンがあります。目的によって選択対象を変えて、後の操作(削除、非表示、ズーム、作業領域をフィット、選択部材にズームなどTekla Structuresの標準の操作)に活かしてください。

Image
slimp20.png

  • 灰色ダミー材選択
  • 赤色ダミー材選択
  • 選択行ダミー材選択

3.表示文字コード

モデルビューに表示されるメッセージが文字化けを起こしている場合は、ここで文字コードを切り替えて、再度実行して下さい。UTF8シフトJISどちらかに切り替えることで文字化けを解消することができます。

Image
slimp21.png

4.エラーメッセージ一覧

スリーブ・開口作成処理で表示されるエラーメッセージには以下のものがあります。

1. L##:FLOOR行のデータが読めません   

Image
slimp22.png

指定の行のデータに問題がないかご確認下さい。FLOORコマンドなのに階名が空またはTekla Structuresモデルの基準線のZラベル名に存在しない場合など、CSVデータをご確認ください。
FLOOR の場合TeklaStructuresモデルのZ基準線のラベル名が階名に一致する場合、そのZ値を基準高さとします。)
Image
slimp23.png

FLOORコマンドの行では、
3列目:Z基準線のラベル名
4列目:”見下” もしくは ”見上” の文字列(送り仮名はなし)
5,6列目:Xオフセット値、Yオフセット値
が入ります。

OKボタンでダイアログを閉じて続行します。基準座標はこの行より上で定義された基準座標が使われます。未定義の場合は0,0,0が使われます。
2. L##:ABSOL行の座標値が読めません

ABSOLコマンドに対して原点のXYZ座標値のいずれかが空の場合など、CSVデータをご確認ください。

OKボタンでダイアログを閉じて続行します。基準座標はこの行以上で定義された基準座標が使われます。未定義の場合は0,0,0が使われます。
3. 梁がないか既に開口済か確認下さい: Id: ###

該当位置に梁が存在しない場合かもしくは梁が存在しているが既に開口がある場合が考えられます。
4. 貫通孔として確認できません。交差状況を確認下さい: Id: ###

たとえば、開口長さより厚い部材があり、貫通状態にない場合などがあります。モデルをご確認ください。

5. 厚さ50mm以上 ###mm : Id: ###

鋼構造用のスリーブ補強コンポーネントが指定されている場合で、板厚が50mm以上ある場合など、モデルをご確認ください。
6. 梁天端が見つかりません: Id: ###

梁が回転(横使いなど)していてコンポーネントの基準となる梁天端位置が見つからない場合など、モデルをご確認下さい。

7. ########: 適合サイズなし: ###mm: Id: ###

既成品のスリーブ補強コンポーネントで指定された口径のものがない場合など、サイズとスリーブ補強コンポーネントをご確認ください。

8. ########: コンポーネントが見つかりません: Id: ###

指定されたスリーブ補強コンポーネントがインポートされていないなど、コンポーネントをご確認ください。

9. 干渉する梁が見つかりません: Id: ###

開口位置に該当する梁材がない場合などモデルをご確認ください。

5.注意点

  • ダイアログのプログレスバーが100パーセントになるまで、モデルビューを操作しないようお願いいたします。操作すると部材選択が外れ干渉チェック作業が正しく行われなくなる場合があります。
  • ダミー材は確認等が完了し必要がなくなれば随時削除して下さい。

以上、

役に立ちましたか?