Tekla Model Sharingでのベストプラクティス

Tekla Structures
2018
Tekla Structures

Tekla Model Sharingでのベストプラクティス

共有モデルを適切な状態に維持して変更を正常に共有するには、 Tekla Model Sharing のベスト プラクティスに従います。

Tekla Model Sharing の一般的なトラブルシューティング手順については、「 Troubleshooting Tekla Model Sharing (Tekla Model Sharingのトラブルシューティング) 」を参照してください。

共有モデルでの異なるオブジェクトタイプの機能

Tekla Model Sharing で複数のユーザーがモデルを同時に変更すると、競合が発生する可能性があります。

通常、 Tekla Model Sharing ではすべてのオブジェクトタイプが同様に機能します。読み込みを行うと、同じオブジェクトのローカルでの変更より取得したパケットの変更が優先されます。つまり、複数のユーザーが同じオブジェクトを変更した場合、共有サービスに最初に変更を書き出したユーザーが競合時に優先されます、

共有モデルを共有し始める前に、共通の作業方法について合意しておきます。

たとえば、
  • 各ユーザーがモデルの異なる領域で作業するようにする。

  • カタログ にすべての必要な定義が含まれていることを確認する。

  • ファミリーナンバリング の設定を確認する。

    ファミリーナンバリングの設定は共有されますが、増分的に更新できません。1人のユーザーがまずすべてのパケットを読み込み、更新した後、それを書き出して設定を共有することをお勧めします。ユーザーが書き出し前に読み込みを行う必要がある場合、設定が共有の開始前と同じであることを確認することが重要です。

    マークシリーズ内の番号が不足したり、マークシリーズが別のマークシリーズと重複したりしないように、開始番号は広い範囲で指定します。

    ナンバリングの際は、[ 選択オブジェクトのシリーズのナンバリング ] タブの [ 図面とレポート ] コマンドを使用することをお勧めします。

  • 現場打ちコンクリート部材をモデルで使用することに同意し、それに応じて XS_​ENABLE_​POUR_​MANAGEMENT を設定する。

    モデルで現場打ちコンクリート部材が有効な場合、特にプロジェクトの途中では XS_​ENABLE_​POUR_​MANAGEMENT を使用して現場打ちコンクリート部材を無効にしないでください。モデルおよび図面の現場打ちコンクリート部材と打ち継ぎでが無効になり、現場打ちコンクリート部材に関連するモデリング作業がすべて失われる可能性があります。

各ユーザーが同じオブジェクトの異なるプロパティを変更した場合、最終結果は変更の組み合わせになります。

  • モデルオブジェクト

    オブジェクトプロパティの変更が共有されると、他のオブジェクトプロパティの変更はすべて上書きされます。

    たとえば、あるユーザーが梁プロファイルを変更して書き出しを行ったとします。別のユーザーが同じ梁の材質を変更して読み込みを行います。同じプロジェクトのローカルの変更より共有された変更が優先されるため、梁の材質を変更したユーザーは変更を失います。

  • [基準線]

    基準線の共有で競合が発生した場合、グリッドプロパティで設定されている元の値を使用して基準線が再作成されます。手動で追加した基準線はすべて失われます。

    たとえば、2人のユーザーが単独の基準線を追加して基準線を変更し、書き出しを行った場合、追加された基準線は読み込み時にモデルから消えます。

  • ユーザー定義情報(UDA)

    ユーザー定義情報(UDA)の共有された変更は、同じUDAの変更のみを上書きします。

    たとえば、 [コメント] に加えられた変更は、 [コメント] に加えられた変更を上書きしますが、 [短縮量] UDAに加えられた変更は上書きしません。

    部材の変更を共有しても、UDAの変更は上書きされません(その逆も同様です)。

  • 部材と関連するコンポーネント

    部材の変更を共有しても、コンポーネントの変更は上書きされません(その逆も同様です)。

  • 図面

    同じ部材の図面が重複して作成されることがあります。

    たとえば、2人のユーザーが共有モデルのローカルバージョンで作業していて、同じ部材の図面を作成する場合などです。両方のユーザーがそれぞれの変更を書き出した場合、図面リストに2つの図面が表示されます。 Tekla Structures によって、いずれかの図面が削除されたり、図面の変更が結合されたりすることはありません。図面を視覚的に確認し、削除する図面を決定したり、 図面ロック を使用して、他のユーザーが図面を変更できないようにする必要があります。

  • 現場打ちコンクリート

    現場打ちコンクリート ユニットへのオブジェクトの自動割り当ては共有されません。現場打ちコンクリート ユニットを更新するには、[ 現場打ちコンクリートを計算 ] コマンドを実行する必要があります。

    • XS_​CALCULATE_​POUR_​UNITS_​ON_​SHARINGTRUE (デフォルト値) に設定されている場合は、書き出しおよび読み込み時に Tekla Structures により自動的に現場打ちコンクリート ユニットが計算および更新されます。

    • XS_CALCULATE_POUR_UNITS_ON_SHARINGFALSE に設定されている場合、各ユーザーは、最新の現場打ちコンクリート ユニット情報が必要になったときに、共有モデルのローカル バージョンで [ 現場打ちコンクリートを計算 ] コマンドを実行する必要があります。

      たとえば、ユーザー 1 が現場打ちコンクリート部材オブジェクトに接触するように鉄筋を移動させ、[ 現場打ちコンクリートを計算 ] コマンドを実行して現場打ちコンクリート部材ユニットに鉄筋を追加し、書き出しを行います。 ユーザー 2 が読み込みを行うと、鉄筋が移動していることがわかりますが、現場打ちコンクリート部材ユニットには鉄筋が追加されていません。

    手動割り当てと、現場打ちコンクリート部材オブジェクトおよび現場打ちコンクリート部材オブジェクトに追加されたオブジェクトに対するその他の変更 (形状や位置の変更など) が共有されます。 現場打ちコンクリート部材ユニットの割り当ての手動変更を共有すると、ローカルの変更が上書きされます。

    たとえば、ユーザー 1 が、[ 現場打ちコンクリート ユニットに追加 ] コマンドを使用して現場打ちコンクリート部材ユニットに埋込み材を追加して、書き出しを行います。 ユーザー 2 が、[ 現場打ちコンクリート ユニットに追加 ] コマンドを使用して別の現場打ちコンクリート部材ユニットに同じ埋込み材を追加します。 ユーザー 2 が読み込みを行うと、ユーザー 1 が埋込み材を追加した現場打ちコンクリート部材ユニットに埋込み材が追加されていることがわかります。

  • ナンバリング設定用の標準ファイル

    ナンバリング設定用の標準ファイルは、読み込みを行っても自動的には読み込まれません。ナンバリング設定用の標準ファイルを使用する場合は、読み込み後に再読み込みする必要があります。

Warning:

オブジェクトの削除が共有サービスに書き出された場合、読み込みを行うとモデルでオブジェクトが削除されます。これは、読み込みを行う前にオブジェクトを変更したかどうかに関係なく行われます。削除が共有された場合、削除されたオブジェクトは削除されたままになります。

削除されたオブジェクトは、読み込み時に表示されません。

共有モデルでのオブジェクトIDの機能

Tekla Structures オブジェクトには、オブジェクト GUID (グローバル一意識別子) として表示される識別子があり、これは Tekla Model Sharing でも使用されます。

つまり、GUID を使用しない機能は GUID を使用するように変更する必要があります。

  • 互換性のインポート/エクスポート操作。

    • FabTrol XML

    • ASCII

  • 他のすべてのアプリケーションでは、静的IDに依存するマクロおよびレポートプロセス。

新しいオブジェクトタイプを作成せずにカタログの更新を共有する方法

新しいプロファイルなどの新しい定義によってカタログを更新し、新しい定義を使用したオブジェクトを作成せずに変更を共有する必要がある場合があります。

  1. 共有モデルを使用しているすべてのユーザーが、各自の変更を 書き出し ていることを確認します。
  2. すべてのモデル変更を 読み込み ます。
  3. 必要な カタログ を更新します。
  4. 新しい ベースライン を作成します。
  5. すべてのユーザーが、作成されたベースラインに 参加 することを確実にします。

    ユーザーがベースラインに参加した後、次のようにします。

    1. ユーザーが、[ ファイル > 共有 > 共有設定 > 除く ] で、 除外されたファイルとフォルダの設定 が最新であることを確認するか、 ..\TeklaStructuresModels\<model>\ModelSharing\Settings にあるモデルの以前のローカル バージョンから FileSharing.ini ファイルをコピーすることを徹底します。
    2. ユーザーがモデルの以前のローカルバージョンを削除することを確実にします。

オーガナイザーデータを共有する方法

デフォルトでは、 オーガナイザー データは共有されません。ただし、 Tekla Model Sharingオーガナイザー のインポートとエクスポートを使用すると、 オーガナイザー の変更を共有できます。

  1. オーガナイザー データの責任者となるユーザーを選択します。このユーザーが、ユーザー A となります。
  2. ユーザー A は、 オーガナイザー データを作成し、モデル サブフォルダに データをエクスポート します。

    選択したフォルダをデフォルトの ProjectOrganizer フォルダとすることはできないことに注意してください。

  3. ユーザーAが 書き出し を行います。
  4. ユーザーBが 読み取り を行い、新しいデータがあることを通知します。
  5. ユーザー B が オーガナイザー を開き、ユーザー A がエクスポートしたデータをインポートします。

    データが オーガナイザー で新しいデータとして表示されます。

  6. ユーザー B が古い オーガナイザー データを削除し、モデルを保存します。
  7. ユーザー A が オーガナイザー データを更新し、更新をエクスポートして書き出します。
  8. ユーザー B が読み込みを行い、更新されたデータを オーガナイザー にインポートします。

    データが オーガナイザー で新しいデータとして表示されます。ユーザー B が古いデータを削除します。

共有モデルのバックアップ

Tekla Model Sharing で使用されるモデルは、バックアップすることをお勧めします。共有モデルに問題が発生した場合、任意のユーザーのモデル(つまり、バックアップされているモデル)を選択し、モデルのローカルバージョンを使い続けることができます。バックアップされた完全なモデルを使用しており、モデルフォルダに図面や各種データベースなどが存在することを確認します。これにより、モデルが正しく機能するようになり、データが失われることがなくなります。モデルのバックアップバージョンが古い場合、すべての変更を読み込むには時間がかかることがあります。

会社の規則に従ってモデルをバックアップしてください (Windows バックアップを使用するなど)。また、[ ファイル > 名前を付けて保存 > 保存してバックアップコピーを作成 ] コマンドを使用して、モデルのバックアップ コピーを作成することもできます。バックアップ コピーは、元のモデルと同じ GUID を持ちます。

[ 名前を付けて保存 ] コマンドを使ってモデルのバックアップはできない点に注意してください。 [ 名前を付けて保存 ] を使用した場合、モデルには新しい ID が付けられ、元のモデルとの関連はなくなります。

[ 名前を付けて保存 ] コマンドを使用しても、モデル履歴は保存されたモデルと共にコピーされません。

共有モデルの復元

共有モデルに作業時間の無駄につながる問題がある場合、社内の管理者は、 Management Console for Tekla Model Sharing を使用して問題のあるモデル バージョンを削除できます。 共有モデルのユーザーが Tekla Structures でモデルの以前のバージョンを復元し、そのモデルを Tekla Model Sharing で使用することも可能です。

Management Console for Tekla Model Sharing は、管理者が組織のすべての共有モデルを管理できるようにウェブベースのアクセスを許可します。 管理者は、モデルをロックして、1 人のユーザーを Tekla Structures でモデルを調査できるロック オーナーに指名します。 ロック オーナーが問題を検出すると、管理者は問題の原因となっているモデル バージョンを削除し、モデルのロックを解除して再度通常どおり使用できるようにします。

モデルのロック中には、 Tekla Structures の共有コマンドは次のように使用できます。

  • [ イン ] および [ アウト ] アイコンには、黄色の矢印 が表示されます。これらのコマンドを使用できるのはロック オーナーのみです。
  • [ ファイル ] メニューで、ロック オーナーが [ イン ]、[ アウト ]、[ ベースラインの作成 ]、および [ ユーザー ] コマンドを使用できます。
  • [ 共有モデル ] ダイアログ ボックスで、ロック オーナーが [ モデルの編集 ]、[ ユーザーの管理 ]、および [ クラウドからモデルを削除 ] コマンド の使用と、特定のモデルへの参加を行うことができます。

他のユーザーが共有コマンドを使用することはできません。

共有モデルのユーザーが、管理者によって削除されたいずれかのモデル バージョンの読み込みまたは書き出しを既に行っている場合、 Tekla Structures では、このユーザーに対して [ アウト ] および [ イン ] アイコンに赤色の矢印 が表示されます。[ ファイル ] メニューの共有コマンドは使用できません。ユーザーはモデルへの参加を再度行う必要があります。

ユーザーが削除されたバージョンを使用していない場合、そのユーザーは参加を再度行う必要はありません。

さらに調査を行うことなくモデルの以前のバージョンに戻すことも可能です。 管理者は、 Management Console for Tekla Model Sharing でモデルをロックし、不要なバージョンまたはエラーが含まれるバージョンを削除した後で、モデルのロックを解除できます。 その後、ユーザーはモデルの有効なバージョンへの参加を再度行う必要があります。

モデル バージョンが削除された場合、そのバージョンで行われた変更はモデルから失われることに注意してください。 モデルに含める必要がある変更は、再度実行し、読み込みを行う必要があります。

モデルの以前のバージョンを使用する別の方法として、共有モデルのユーザーは次の手順を実行できます。

  1. もう一度モデルに 参加 します。
  2. モデル履歴の目的のレベルに到達するまでパケットを 読み込み ます。
  3. モデルを共有から 除外 します。
  4. 共有を開始 し、他のユーザーをもう一度モデルに招待します。

    モデル内のすべてのユーザーが復元されたバージョンのモデルを使い始めるようにしてください。

モデルへの再参加 (書き出し後にモデルが保存されていない場合)

共有サービスへの変更の書き出しでエラーが発生した場合、モデルに再度参加する必要がある場合があります。書き出しエラーによってデータベースの不整合やモデル データの破損が生じた可能性がある場合は、 Tekla Structures にエラー メッセージが表示されます。

書き出しを行うときに、 Tekla Model Sharing は次のことを行います。

  1. モデルを保存します。
  2. 増分パケットを用意します。モデル フォルダのデータはまだ変更されません。
  3. 共有サービスに増分パケットをアップロードします。
  4. 増分パケットが正常にアップロードされたら、モデルを再度保存します。ローカル モデル データが必要情報によって更新されます。

手順 4 より前の手順でエラーが発生した場合は、 Tekla Structures にエラー メッセージは表示されません。共有サービスは、モデルの更新をまだ受け取っていません。モデル フォルダに書き出しを妨げるデータは含まれていないため、再度書き出しを試みることができます。モデルに対して新しい更新が利用できる場合は、最初に更新を読み込んでから、再度書き出しを試みてください。

手順 4 でエラーが発生した場合は、 Tekla Structures にモデルに再度参加するように助言するエラー メッセージが表示されます。参加したら、 共有履歴 から、書き出しが共有サービスにアップロードされたかどうか確認することができます。

手順 4 でエラーが発生した場合は、モデルが正しく保存されていない可能性があり、モデル データが破損または失われている可能性があります。モデルには、いくつかの異なる Tekla Structures データベースがあり、それぞれ独自のベースラインがあります。エラーが発生した場合、 Tekla Structures モデルには、共有されたデータに必要なすべての情報が揃っていません。

共有の問題についてサポートを受ける方法

Tekla Structures に関する問題を解決するには、 Tekla Model Sharing のサポートにお問い合わせください。

最寄りのサポートにモデルの調査を依頼する場合には、次の情報が含まれていることを確認してください。

  • モデル。 モデルを圧縮します。ただし、モデルを提供するまでそのモデルの再保存は行わないでください。
  • tms-support-no-reply@tekla.com をモデルに招待することによって、 Tekla Structures のサポートに [ ビューワー ] 権限を与えます。

    モデルの調査の完了後には、必ず Tekla Structures サポートをユーザーから削除してください。

  • 問題の詳細な説明。

    可能であれば、問題を再現する手順を含めてください。

  • イメージおよびスクリーンショット。
  • 使用している Tekla Structures のバージョン。
  • 使用している環境および役割。
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