ハイリングIIIチェックツール
概要
本ツールは、Tekla Structures上の大梁、小梁、片持ち梁部材に作成されている、センクシア株式会社(旧日立機材株式会社)製のハイリングⅢについて、梁上の位置がハイリングⅢの適用範囲を満たしているかをチェックします。チェック結果はモデル上での描画及びハイリングⅢのダイアログ上で確認することが出来ます。 また、ハイリングⅢ工法検討システム用のCSVファイルを出力することが出来ます。(ただし、本ツールが自動で出力できない項目について追加編集して頂く必要があります。) 対象としている構造物は鉄骨構造(S造)で、鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)は未対応です。
2019年10月現在の最新のツールのバージョンは1.4(Tekla Structures2018及び2018i)、1.4.1(Tekla Structures2019以降)となります。
チェック項目
梁部材及びハイリングⅢに対するチェックは、下表の各項目に対して実行されます。
チェック項目出典元 https://www.senqcia.co.jp/products/kz/hiring/flow.html#anchor-tab
処理対象部材
本ツールでチェックを行う際に、対象となるモデル上の部材に関して、梁部材やスプライスジョイントで接合されるブラケット部材、梁部材に作成されているハイリングⅢや、スチフナー・ガセットプレートなどのハイリングⅢとのクリアランスのチェックを行う部材を含んだ、チェック対象のオブジェクトの集合を”チェックユニット”という単位で扱います。一つのチェックユニットには、以下のような大梁を構成しているオブジェクトが含まれます。
例)大梁 ブラケット部材 ハイリングⅢ スチフナー 小梁ガセットプレート スプライスプレート 柱梁接合部ガセットプレート
上下フランジの外側に接合されている部材(吊ピース、鉛直ブレースのガセットプレート)などは、梁の製品の一部であってもチェックユニットには含まれません。実行対象の部材の判断(大梁・小梁・片持ち梁)については、部材に設定されている部材種別の情報が必要となります。この情報が設定されていないと、チェックが正しく実行されません。
大梁
部材を大梁としてチェックを行うには、以下の条件を全て満たしている必要となります。
- 梁部材の部材種別に”大梁”、”片持ち梁”、”ブラケット梁”のいずれかが設定されていること
- ブラケット梁が存在する場合には、中央の大梁とブラケット梁間がシステムコンポーネントのスプライスジョイント(77)、プラグインコンポーネントのJpスプライス、JpHスプライスのいずれかを用いて接合され、コンポーネントが分解されていないこと
- 大梁の両端に柱が存在し、その柱と大梁またはブラケット梁が溶接接合され、柱製品のメイン部材となる柱部材の部材種別が”柱”と設定されていること
一例として、下図のように中央の梁に部材種別が設定されており、その梁に対してスプライスジョイント(77)を用いて接合されているブラケット部材をまとめて、一つのチェックユニットとして処理を行います。
両端の柱に部材種別が設定されていない場合、または梁部材に対して柱製品が溶接されていない場合には、警告メッセージが表示されます。警告メッセージが表示された場合でもチェックの処理は行われますが、正しい結果が得られない可能性があります。
小梁
部材を小梁としてチェックを行うには、以下の条件を満たしている必要となります。
- 梁部材の部材種別に”小梁”が設定されていること
片持ち梁
部材を片持ち梁としてチェックを行うには、以下の条件を全て満たしている必要となります。
- 梁部材の部材種別に”大梁”、”片持ち梁”、”ブラケット梁”のいずれかが設定されていること
- ブラケット梁が存在する場合には、中央の大梁とブラケット梁間がシステムコンポーネントのスプライスジョイント(77)、プラグインコンポーネントのJpスプライス、JpHスプライスのいずれかを用いて接合され、コンポーネントが分解されていないこと
- 梁の片側のみに柱が存在し、その柱と梁またはブラケット梁が溶接接合され、柱製品のメイン部材となる柱部材の部材種別が”柱”と設定されていること
ハイリングⅢ
大梁や小梁、片持ち梁に配置されるハイリングⅢは、弊社より提供されているカスタムコンポーネント”TJ_HiRing3”または"ハイリング3"を用いて、梁部材をコンポーネントの親部材として作成され、そのコンポーネントがモデル上で分解されていない必要があります。コンポーネントが分解されている場合には、チェック対象としてチェックユニットに含まれません。
スチフナー・ガセットプレート等の構造部材
梁を構成する構造部材としてチェックユニットに含まれるスチフナーやガセットプレート、スプライスプレートは、以下の条件を全て満たしている必要があります。
- 梁部材に溶接されていて、部材の名前に”GUSS”、”GASS”、”STIF”、”STF”、”STIFFENER”、”SPLICE”のいずれかが含まれていて、部材の重心位置が梁成内に存在すること
- 梁部材にボルト接合されていて部材の名前に”GUSS”、”GASS”、”STIF”、”STF”、”STIFFENER”、”SPLICE”のいずれかが含まれていること
- 大梁及び片持ち梁で、スプライスプレートがシステムコンポーネントのスプライスジョイント(77)を用いて作成され、コンポーネントが分解されていないこと
ツールの実行
ツールの起動はマクロから行います。メニュー [ツール] > [マクロ] を実行して、マクロダイアログを表示させます。リストから”ハイリングⅢチェックツール(ベータ版)”を選択し実行ボタンを押すと、ツールが起動します。
チェック対象の部材をモデル上で選択し、ダイアログの実行ボタンを押してその部材に対してチェックを実行します。モデル上の全部材を対象としてチェックを実行する場合には、ダイアログ上の設定で対象を全部材とします。
実行時の部材選択で、大梁がブラケット梁など柱間で分割して作成されている場合には、そのうち一部材のみを選択して実行することで、ツール側で各部材を一つのチェックユニットに含めてチェックを実行します。
2019.10 改訂適用のチェックボックスをオフとして実行すると、2019年10月カタログで改訂されました部材間の距離や大梁の塑性化領域について、改訂前の仕様でチェックを行います。
実行後には、チェック対象部材の下側にその部材やハイリングⅢに関する情報、上側にハイリングⅢの適用範囲に対してNGとなった箇所及びその原因が表示されます。この表示を削除するには、ハイリングⅢチェックツールのダイアログ上にある”ビューの更新”ボタンを押すか、ビュー上で右クリック→ビュー再描画、またはビューの更新を行います。
実行結果の確認
モデルビュー
モデルビュー上で実行結果の確認を行います。
チェックユニットに含まれる部材に対して、その部材の下側に以下の情報が表示されます。
①.対象部材に対する番号: チェックユニットが複数ある場合に、そのユニットに含まれる梁部材を認識するため、梁部材に対して番号が表示されます。1つのチェックユニット内に含まれる梁には同じ番号が割り当てられ、大梁の場合は”大梁-1”、”大梁-2”、小梁の場合は”小梁-1”、”小梁-2”、片持ち梁の場合は” 片持ち梁-1”、”片持ち梁-2”となります。
②.ハイリングⅢに対する番号とタイプ: 梁に作成されているハイリングに対してチェックユニット毎に割り当てた番号とカスタムコンポーネントで作成したハイリングⅢのタイプが表示されます。モデル上の原点を起点として昇順に番号が割り当てられます。
③.塑性化領域の範囲(大梁のみ): 大梁の両端からの塑性化領域の範囲が表示されます。
④.処理対象となっているガセットやスチフナー: チェックユニット内のハイリングⅢとのクリアランスのチェックを行う対象となっているガセットプレートやスチフナー情報が表示されます。この情報が表示されていない部材に対しては、チェックの処理対象となっていません。
部材の上側には、適用範囲のチェックに対する以下の結果が表示されます。
⑤.梁部材: 梁成、梁材質、梁ウェブ幅厚比、及び梁成と梁フランジ幅の比についてチェックを行い、適用範囲外となる場合に問題箇所についてメッセージが表示されます。
⑥.ハイリングⅢの位置や孔径: ハイリングⅢの貫通孔径、偏芯量、梁端部距離についてチェックを行い、適用範囲外となる場合に問題箇所についてメッセージが表示されます。偏芯量については制限値がカッコ内に表示されます。
⑦.塑性化領域のハイリングⅢ(大梁のみ): 塑性化領域内に配置されているハイリングⅢについてチェックを行い、適用範囲外となる場合に問題箇所についてメッセージが表示されます。
⑧.ハイリングⅢ間のピッチ: 隣接するハイリングⅢとのピッチについてチェックを行い、適用範囲外となる場合に現状のピッチと必要とされるピッチが表示されます。
⑨.ハイリングⅢ間の空き: 隣接するハイリングⅢとの空きについてチェックを行い、適用範囲外となる場合に現状の空きと必要とされる空き量が表示されます。
⑩.ハイリングⅢと構造部材との距離: ハイリングⅢと梁を構成する構造部材、ガセットプレートやスプライスプレート、スチフナー等との空きについてチェックをおこない、適用範囲外となる場合に現状の空きと必要とされる空き量が表示されます。
ダイアログのテキストボックス
ハイリングⅢチェックツールのダイアログ上でも、モデルビュー上に表示されているチェック結果を確認することが出来ます。
ダイアログ上では、モデルで選択している部材数、部材から検出されたチェックユニット数、チェックユニット毎の結果が表示されます。チェックユニット毎の結果には、
- 対象部材に対する番号(①)
- 梁部材に対する結果(⑤)
- ハイリングⅢに対する結果(⑥)
- 塑性化領域のハイリングⅢに対する結果(⑦)
- ハイリングⅢのピッチ及び空きに対する結果(⑧⑨)
- ハイリングⅢと構造部材の距離に対する結果(⑩)
が表示されます。チェックユニット毎の最後に各チェック項目に対して適用範囲内に収まっている場合にはOK、範囲に収まっていない項目がある場合にはNGが表示されます。
工法検討システム用ファイルの出力
ツールを実行すると、ハイリングⅢ工法検討システム用のCSVファイルがモデルフォルダ内に出力されます。ファイル名は” ハイリングIIIモデルデータ.csv”です。
各項目は、モデル上の情報をもとにツール側が自動的に出力しますが、以下の項目については自動判定できないため、固定値として各初期値が出力されます。したがって出力後エクセルなどで適切な値に編集して頂くようお願いします。
- 支持条件(C列):1:両端固定、2:両ピン、3:片ピン (初期値:大梁→1、小梁→2、片持ち梁1)
- サイズ種類 (I,O,R列):1:ロールH(内法)、2:ロールH(外法)、3:ビルドH (初期値: 1)
- RC梁成Drc(U列): 実数 (初期値: 0)
- 床荷重P(W列): 実数 (初期値: 0)
- 床荷重負担幅(X列): 実数 (初期値: 0)
- また、梁サイズ(J、P、S列)については、Tekla Structuresでの表記に対して「-」がなければ追加し「*」は「x」 に変換し出力します。
- 材質(K、Q、T列)については、Tekla Structruesでの材質名に含まれる数字から判断して強度(325などの数字)に置き換えています。単純な文字列判定ですので出力された強度は必ずご確認の上ご利用下さるようお願いいたします。
以上