大梁属性情報補完ツール
大梁部材リスト用属性情報補完ツール マニュアル
対応バージョン:Tekla Structures 19.0以降
1. はじめに
本資料は、大梁部材(中央材)及び大梁に接続される左右ブラケット部材(端部材)に関する情報を大梁部材のユーザー定義情報に書き込むツールに関するインストールと操作説明書です。
2. 本ツールの目的
梁伏図などの図面内に、その図面に含まれる大梁や小梁、柱等の部材に関する断面、継手コード等の情報を、以下のようにリストとして表記させることが一般的となっています。
これらの部材リストをTekla Structuresの図面上で自動的に表示させるために、リスト表記に必要な情報を部材のユーザー定義情報に入力することで、その情報をもとにリストの自動作成を行う図面テンプレートを公開しています。このテンプレートを使用することで、例えば大梁でブラケット部と中央の梁の部材断面が異なるような場合に、中央の梁に入力されている情報から正確な部材リストを図面上に表示させることができます。
(このテンプレートの詳細に関しては「部材リスト図設定」に説明がありますので、ご参照ください)
ただし、中央の梁に対して両端部や中央の部材の断面情報、継手情報を個別に入力する必要があるため、入力忘れ、間違いが発生する可能性が高く、現実的な作業ではありません。
そこで本ツールでは、モデル内の大梁材(中央材)及び短部材(ブラケット部材)の断面情報を自動認識し、中央材のユーザー定義情報の指定された入力フィールドへ、部材リストに必要な情報を一括または個別に入力することが可能となります。
3. ツールの概要
3.1 処理対象部材
本ツールで対象とする部材の形状は、大梁の柱側端部がブラケットで接合されるタイプ(ブラケット、及び中央の梁で構成される大梁)、及びノンブラケットタイプ(1部材のみで構成される大梁)に対応しています。
また処理対象のモデルとしては、柱と梁が直交し、基準線はモデル上で唯一の単純な矩形形状で構成されているものを対象としています。
大梁部材及びブラケット部材は、形鋼及びプレート材で構成されるBH材の両方に対応しており、BH材の場合には構成されるプレート材から、BH材の断面を認識しユーザー定義情報(UDA)に保存されます。(H鋼とCT鋼等からなるハンチ材には対応しておりません。)
継手情報については、大梁部材やブラケット部材がメイン部材または副部材として適用されたシステムコンポーネントを検索し、コンポーネントプロパティのジョイントコードで設定された情報を継手情報として保存します。
3.2 本ツールで書き込まれる情報
本ツールでは、大梁部材のユーザー定義情報(UDA)に下記の情報が書き込まれます。
♦中央材、端部材の断面情報と材質情報
♦中央材、端部材に関連する継手(ジョイントコード)
♦中央材が配置されている階情報と部材種別情報
こちらの情報は、ブラケット構造の場合には中央材、ノンブラケット構造の場合には、大梁のユーザー定義情報に書き込まれます。
4. 動作条件
本拡張アプリケーションは指定されたバージョンのTekla Structures上でのみご利用いただけます。
また本アプリケーションのインストールとご利用にあたっては以下のソフトウェアのインストールが必要となります。
♦本プログラムが指定しているTekla Structuresのインストール
♦.NET Framework 4.0
.NET Framework4.0はTeklaStructuresのインストール時に自動的にインストールされますが、もしインストールされていないようであればマイクロソフトのホームページよりダウンロードとインストールを行うことができます。
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/netframework/aa569263.aspx
5. ツールの起動
Tekla Structuresを起動後、メニュー[ツール]>[マクロ]を使ってマクロダイアログを呼び出すとローカルマクロの一覧に” 大梁部材リスト用属性情報補完ツール”が追加されています。
一覧から” 大梁部材リスト用属性情報補完ツール”を選択後[実行]ボタンを選択すると、アプリケーションが起動します。
ダイアログ上には、複数部材に対する処理を実行する[一括処理]タブとモデル上で選択した部材に対して処理を実施する[個別処理]タブがあります。
また、処理条件を定義する[設定]タブがあります。
6. 実行方法
6.1 [一括処理]タブでの操作
モデル上で対象となる部材を検索、選択を行い、選択された部材に一括して大梁部材と接続されるブラケット材、継手情報の書き込み処理を実行します。
[一括処理]タブ上の[部材抽出]ボタンで処理対象の部材を選択し、[処理開始]ボタンで、ユーザー定義情報(UDA)への書き込み処理を実行します。
モデル上で部材が選択されていない場合には、ユーザー定義情報(UDA)への書き込み処理は実施されません。[部材抽出]ボタンまたはモデル上で直接処理対象とする部材を選択後、[処理開始]ボタンで書き込み処理を実行します。
モデル上で部材を選択した状態で[部材抽出]ボタンを選択した場合、選択された部材群から大梁部材の条件に該当する部材を検索します。(モデル上で部材を選択していない場合には、モデル上のすべての部材から大梁部材の条件に該当する部材を検索します。)
[部材抽出]ボタンを選択して検索が完了すると、モデル上で該当する部材が選択されます。
Ctrlキー等を使用して、処理不要な部材や追加処理する部材を選択後、[処理開始]で再度処理を開始します。
大梁部材のユーザー定義情報にすでに情報が設定されている場合には、[設定]タブ上の”情報の上書き”オプションに従って、書き込み処理が行われます。
[個別処理]タブや[設定]タブでの処理を含む、すべての処理に関するログが表示され、モデルフォルダ上のファイル”JPGirderAttributeTool.log”に保存されます。
6.2 [個別処理]タブでの操作
モデル上で個別に部材を選択し、選択された部材の大梁部材と接続されるブラケット材、継手情報の書き込み処理を個別に実行します。
[選択]ボタンを押し、モデル上で部材を選択することでその部材に設定された属性情報の確認が実施され、[書き込み]ボタンで、属性情報の書き込みを行うことができます。
[選択]ボタンで処理対象の大梁部材を選択します。選択された大梁部材がBH材の上下フランジの場合、自動的にウェブ材を検索します。
選択された部材にすでに情報が書き込まれている場合には、中段のグループに、現在の情報が表示され、下段のグループには、システムが自動的に生成した情報が表示されます。
♦[選択部材]グループ
選択された部材のID情報が表示されます。選択した部材がBH材の場合、ウェブ材のIDが表示されます。
♦[部材タイプ]グループ
選択した部材から大梁材と左右ブラケット材の結果が表示されます。
♦[現在の情報]
選択された部材のユーザー定義情報(UDA)にすでに情報が書き込まれている場合、書き込まれている情報が表示されます。
本グループ内の各フィールドで、マウスのダブルクリックまたは”改行(Return)”キーを押すと、そのフィールドの情報が下段のグループにコピーされます。
[UDAに書き込む情報]
選択した部材及び抽出された部材にからツールが生成した情報が表示されます。
[書き込み]ボタンで、本フィールドの情報を大梁部材のユーザー定義情報(UDA)の指定されたフィールドに書き込みます。
6.3 [設定]タブ
部材やコンポーネントに関する抽出条件の設定と選択される部材の確認、属性情報の書き込み先等を定義することができます。
検索対象の部材名やコンポーネント番号、距離条件、及び書き込み先のユーザー定義情報(UDA)のフィールドを指定します。
[更新]ボタンで、モデル上の部材の再抽出と、設定条件の更新が実施されます。
6.3.1 基本設定グループ
♦中央部材 部材名
モデル上で中央部材として処理する部材名に関する条件を定義します。指定された文字列が含まれた部材が、中央部材として処理します。
半角スペースを区切り符号として複数の文字列を指定することができます。
[中央部材確認]ボタンで条件に適合する部材がモデル上で、選択~確認することができます。
[中央部材確認]ボタンでは、最初に中央材製品のメイン部材が表示され、次に副部材が表示されます。
[一括処理]の際は、モデル上で選択された部材から、中央材製品のメイン部材が抽出され、ユーザー定義情報の書き込みが実施されます。
また、中央材がBH材の場合、本ボタン操作で選択表示される製品メイン部材と副部材からBH材を構成する部材が抽出されます。
♦端部材 部材名
モデル上で端部材として処理する部材名に関する条件を定義します。指定された文字列が含まれた部材が、端部材として処理します。
半角スペースを区切り符号として複数の文字列を指定することができます。
[端部材確認]ボタンで条件に適合する部材がモデル上で選択され、確認することができます。
♦処理対象外
モデル上で大梁材または、ブラケット材と見なさない部材名に関する条件を定義します。指定された文字列が含まれた部材は、大梁材やブラケット材としてはみなしません。
半角スペースを区切り符号として複数の文字列を指定することができます。
♦継手コンポーネント(端部)及び継手コンポーネント(中央部)
継手コードを検索するシステムコンポーネントを指定します。
継手コードは、大梁材やブラケット材がメイン部材または副部材として選択された継手タイプのシステムコンポーネントからこのフィールドで指定された継手を検索し、コンポーネント上のジョイントコードを継手コードとして取得します。半角スペースを区切り符号としてシステム内部で管理しているコンポーネント番号を指定します。
ブラケット材がメイン部材または副部材として選択されているコンポーネントから本フィールドで指定されたコンポーネントを検索し、コンポーネントプロパティ内のジョイントコードの値を取得します。
・継手コンポーネント(中央)
大梁材がメイン部材または副部材として選択されているコンポーネントから本フィールドで指定されたコンポーネントを検索し、コンポーネントプロパティ内のジョイントコードの値を取得します。
(例)
「鋼管柱 - 梁 仕口部(21)」はシステム内部ではコンポーネント番号が"400000021"として管理されております。コンポーネント番号は必ず、コンポーネントのオブジェクト情報で確認してください。
6.3.2 UDAフィールド設定
本ツール上で生成したユーザー定義情報(UDA)の書き込み先のフィールド名を指定します。
7. 処理例
コンポーネントを使用して、部材や仕口、継手を作成した場合に、本ツールを利用してモデル上の中央部材に保存される補間情報の内容は以下の通りの情報となります。
7.1 ブラケット構造、ブラケットと仕口/継手部をコンポーネントで作成
上下柱と大梁を配置後、ブラケット構造として、コンポーネントを使って詳細を作成した場合に、本ツールで書き込まれる情報は以下の通りとなります。
♦使用されるコンポーネントの例
柱間継手及びブラケット仕口、大梁継手: 「鋼管柱-梁 仕口部(21)」
♦ユーザー定義情報に書き込まれる情報
【左右部材のユーザー定義情報】
部材種別 ブラケット梁
【中央部材のユーザー定義情報】
部材種別 大梁
階 近傍Z軸基準線のラベル名
左端 断面 左端部材のサイズ
左端 材質 左端部材の材質
左端 継手コード 左端ブラケット~大梁間の継手コード
中央 断面 中央部材のサイズ
中央 材質 中央部材の材質
右端 断面 右端部材のサイズ
右端 材質 右端部材の材質
右端 継手コード 右端ブラケット~大梁間の継手コード(※)
7.2 ブラケット構造、仕口/継手部をコンポーネントで作成
上下柱と大梁及びブラケットを配置後、コンポーネントを使って詳細を作成した場合に、本ツールで書き込まれる情報は以下の通りとなります。
♦使用されるコンポーネントの例
柱間継手:「柱絞り(136)」
柱~ブラケット仕口部:「柱-梁 溶接 スチフナー付(128)」等
ブラケット~大梁間継手:「スプライスジョイント(77)」
♦ユーザー定義情報に書き込まれる情報
【左右部材のユーザー定義情報】
部材種別 ブラケット梁
【中央部材のユーザー定義情報】
部材種別 大梁
階 近傍Z軸基準線のラベル名
左端 断面 左端部材のサイズ
左端 材質 左端部材の材質
左端 継手コード 左端ブラケット~大梁間の継手コード
中央 断面 中央部材のサイズ
中央 材質 中央部材の材質
右端 断面 右端部材のサイズ
右端 材質 右端部材の材質
右端 継手コード 右端ブラケット~大梁間の継手コード(※)
7.3 ノンブラケット構造、端部継手をコンポーネントで作成
上下柱と大梁を配置後、ノンブラケット構造として端部継手をコンポーネントで作成した場合に、本ツールで書き込まれる情報は以下の通りとなります。
♦使用されるコンポーネントの例
柱間継手:「柱絞り(136)」
柱~大梁継手:「スチフナーコネクション柱2(188)」等
♦ユーザー定義情報に書き込まれる情報
【中央部材のユーザー定義情報】
部材種別 大梁
階 近傍Z軸基準線のラベル名
左端 断面 中央部材のサイズ
左端 材質 中央部材の材質
左端 継手コード 柱~大梁継手間の継手コード
中央 断面 中央部材のサイズ
中央 材質 中央部材の材質
右端 断面 中央部材のサイズ
右端 材質 中央部材の材質
右端継手コード 柱~大梁継手間の継手コード(※)
7.4 一方をブラケット構造、もう一方をノンブラケット構造でコンポーネントで作成
上下柱と大梁を配置後、コンポーネントを使って片側はブラケット構造、もう一方をノンブラケット構造として詳細を作成した場合に、本ツールで書き込まれる情報は以下の通りとなります。
♦使用されるコンポーネントの例
ブラケット側
柱間継手及びブラケット仕口、大梁継手: 「鋼管柱-梁 仕口部(21)」
ノンブラケット側
柱間継手:「柱絞り(136)」
柱~大梁継手:「スチフナーコネクション柱2(188)」等
♦ユーザー定義情報に書き込まれる情報
【左右部材のユーザー定義情報】
部材種別 ブラケット梁
【中央部材のユーザー定義情報】
部材種別 大梁
階 近傍Z軸基準線のラベル名
左端 断面 (ブラケット)左端部材のサイズ
(ノンブラケット)中央部材のサイズ
左端 材質 (ブラケット)左端部材の材質
(ノンブラケット)中央部材の材質
左端 継手コード (ブラケット)左端部材~大梁間の継手コード
(ノンブラケット)柱~大梁間の継手コード
中央 断面 中央部材のサイズ
中央 材質 中央部材の材質
右端 断面 (ブラケット)右端部材のサイズ
(ノンブラケット)中央部材のサイズ
右端 材質 (ブラケット)右端部材の材質
(ノンブラケット)中央部材の材質
右端 継手コード (ブラケット)右端部材~大梁間の継手コード(※)
(ノンブラケット) 柱~大梁間の継手コード(※)
8. ツールの利用にあたって
8.1 処理対象の部材抽出について
本ツールでは、起動直後に、モデル上の全ての部材情報を読込み、[設定]タブで定義された中央材や、端部材等の検索条件にしたがって処理対象となる部材が抽出されます。
したがってアプリケーションの起動後にモデルを編集した場合には、アプリケーションを再起動するか、[設定]タブ上の[更新]ボタンを使って、部材の抽出を再実行する必要があります。
8.2 処理対象となる大梁材及びブラケット材について
本ツールでは、下記の条件に該当する部材は大梁材(中央材)やブラケット部材(端部材)としてみなされません。
♦鉛直方向に配置された部材
♦コンクリート部材
♦部材名が処理対象外の条件を満たす部材
処理対象部材の検索は、[設定]タブ上の[処理対象外]が最優先されるように設計されております。
仮に検索条件で、処理対象外に"G"や"B"といった曖昧な条件を定義した場合には、中央材の部材名として"GIRDER"や、端部材の部材名として"BRACKET"を定義した場合でも、それらの部材はすべて無視されます。
対象処理外の部材の選別後、以下のルールに基づき、モデル上の部材を大梁部材とブラケット部材に分類します。
♦部材のユーザー定義情報内の部材種別が”大梁”、”片持ち梁”に設定されている部材を中央材とみなし、種別が”ブラケット”に設定されている部材を、端部材とみなします。
♦ユーザー定義情報の部材種別が定義されていない部材については、[設定]タブ上の[中央部材名]または[端部材名]及び[処理対象外部材名]の設定条件にしたがって、中央材と端部材を判別します。
8.3 BH材の処理
端部材または中央材がBH材の場合には、[設定]タブ上の[中央部材名]または[端部材名]及び[処理対象外部材名]の設定条件で抽出された板材の中から、上下フランジ及びウェブ材を検索し、それらの部材情報から、BHプロファイルを生成し、ユーザー定義情報に書き込まれます。
8.4 継手コードについて
継手コードは、中央材や端部材がメイン部材または副部材として選択された継手タイプのシステムコンポーネントから、[設定]タブ上で指定されたコードを持つものを検索します。
9. 処理フロー
9.1 [一括処理]の処理フロー
9.2 [個別処理]の処理フロー